本日、朝一番にYahoo!ニュースに出ていた見出し。
点滴速度設定ミスで患者死亡 業過致死で看護師書類送検(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100618-00000502-san-soci
詳細はわかりませんが、誤って点滴の設定速度を通常の10倍にしていたのだとか。
記事によると
末期がんで衰弱しており、過度な点滴速度の負担に耐えられなかったとみられる。
とのことなのですが、
おいおいおい!!こんな風に衰弱のせいにしてはいかんよ!!ってことなんです。
どうも、日本では『点滴』のことを、『安全なもの』とか『体に良いもの』的なイメージしている方が多すぎます。
(おそらく、今回の事件は点滴というよいり、IVH(中心静脈栄養)なのだと思うのですが。)
風邪などで点滴を打ってもらう人も多いですし、
その際にも、患者側も、看護側も、『点滴に時間がかかっているので、少し早めますね♪』なんて言っていることもあるかと思います。
おいおいおい!!なんですよね。
そもそも、点滴とは、『薬』を静脈より滴下するための『溶液』として使うもののですが、
点滴の溶液自体にも、いろいろな成分(電解質、糖質)が含まれています。
大きく分類しますと、
・リンゲル液(生食を含む)
・維持液(3B液)
の2種類です。
この2種類の違いをきちんと説明できる、看護師さん、薬剤師さんはどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
過去、多くの方に質問してみましたが、きちんと答えることができた方を、残念ながら、あまり見たことがありません。
簡単に説明しますと、
・リンゲル液(生食を含む) ・・・ 血液(細胞外液)の成分に近い(電解質)
・維持液(3B液) ・・・ 尿の成分に近い成分(電解質)
ということです。
リンゲル液は、細胞外液の補填に、維持液は、尿で出た水分・電解質の補填に使います。
難しいことは記載しませんが、結局のところ、リンゲル液と維持液では、電解質の濃度が全く違うということなのです。
少し具体的にいいますと、維持液はカリウム濃度が高いのです!
↑ここがすごく大事です。
ちなみに、IVH(中心静脈栄養)のベースは、維持液です。
点滴による事故が起こりやすいのは、この維持液なんですね。
すなわち、
維持液を早く落とす(滴下する) = 高濃度のカリウムを点滴する
ということなのです。
カリウム注射での事故は、毎年、どこかで出ていますので危険性はなんとなくご理解いただけるかと思います。
高濃度カリウムは、心臓を停止させますし、インスリンバランスも大きく崩します。
難しいので詳しく書きませんが、とにかく危険なんですよね。
特に看護師さんに知ってもらいたいのですが、
維持液500mlを、30分以内で滴下するのはとても危険です!!
通常は、1時間半ぐらいかけて点滴しますので、
すなわち、3倍速での滴下は、とても危険ということなんです。
今回の10倍速というのが、どのくらい危険なことかお分かりですよね。
衰弱しているから・・・とかいうレベルではないんです。
イシザキが行っている『お薬セミナー』で、常に言っていることなのですが、
点滴を含めて、『薬』は基本的に『毒』なんですよね。
この『毒』を、必要なときに適切に使うので『薬』になるということです。
(もっと言いますと、空気、水、食べ物を含めて、体外から摂取するものは基本的に『毒』です。
健康だからこそ、このような『毒』から、体に必要な物質のみを取り出し、残りを捨てることができるのです。)
現在は、介護施設でも、(主治医の指示のもと)点滴を行っているところも増えてきています。
たかが点滴と考えないようにしてください。
特に、自動点滴ポンプを使っているところは要注意です。
時間単位の滴下数を数えている方は、滴下速度に敏感ですが、
自動点滴ポンプを使うと、機械に頼ってしまいがちになってしまいます。
機械ですので、設定ミスもあれば、動作不良もあるでしょう。
点滴をする、薬を服用する、とうことは、原則危険なことですので、
『薬』が『薬』たるべく使われるために、しっかりとチェックをお願いできればと思います。
『元』薬剤師 イシザキからの切なるお願いでした。
メディカサイトさん
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